若者はなぜ3年で辞めるのか

自分の中では新書ブームなこともあって読んでみました「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)」。従来の年功序列制度における構造的な問題点、社会に中途半端な状態で浸透している成果主義の考え方、導入・活用実態の問題点に鋭く切り込んで解説しています。年功序列制度については既存の「レール」に乗って既得権益を守りたい保守派がいる一方で、将来が見えない中での、旧来型の年功序列制度は若者のモチベーションを下げるのに十分であり、実際に年功序列制度は組織の拡大の前提の上に成立している制度のため、将来は「既得権益」を享受できる可能性は薄い。
著者は環境と制度に矛盾が出てきていることに焦点を置いているが、実は情報へのアクセスが簡単になり、取得する量が増えているからということも忘れてはならないように思われる。昔は”職”に関する最新の情報にアクセスするのさえ中々手間のかかることだったのではないでしょうか。
するとここでもインターネットによる情報過多が様々な影響を及ぼしているのが見えてくる。現在はインフラ、サービス自体が発展途上のためわりと利便性の向上など明の部分ばかりスポットを当てられがちですが、数年後に情報過多社会で育ってきた世代の働くことに関する意識に大きな変化が起こるかもしれません。
そして現在の20代はちょうど旧制度を体験した世代と新しい情報過多社会の中で育ってきた世代との真ん中に位置する。感慨深いものです。


・若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 ★★★☆☆

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)